アーティストは実際のところ何で儲けるの?
①契約金、アーティスト・ロイヤルティ(アーティストとレコード会社との間で結ばれるアーティスト契約に基づくもの)
②著作権料(印税収入;アーティスト、厳密には作家と音楽出版社との間で結ばれる著作権契約に基づくもの)
③ラジオ使用料
④テレビ使用料
⑤映画使用料
⑥マーチャンダイジング
⑦事務所からの給与
(固定給または歩合給;アーティストと事務所との間で結ばれるマネジメント契約に基づくもの)
⑧演奏料ないし出演料、ギグでの会場側からのギャラ(事務所が関与する場合は事務所からの給与に含まれる)
⑨そのほか
アーティスト・ロイヤルティについては通常2%で1枚48円となり、レコード会社からアーティスト事務所に支払われます。レコードの売上が①から⑨のすべての項目に跳ね返ってきますから、レコード売上が増えることが全体の収入が上がってくることを約束している基準数字となり、「レコードが売れてナンボ」ということになります。

事務所(いわゆるプロダクション)からの給料は、レコード会社からの契約金ないしはアーティスト・ロイヤルティや原盤印税の前渡し金を分割し、取り崩す形で支払われる部分もあります。これはあくまでも、事務所の運営方法にかかっています。

もしあなたがデビュー前のアーティストであるとして、単純に考えればBUZZ(「これは売れるとだれしも思う定評」)を創り出していないと、契約するメリットをエンジョイできません。つまりアーティスト側に有利な契約はできません。デビューは早すぎます。「金のなる木(レコード)」を探すのがレコード会社です。

作詞ないしは作曲をしているアーティストは、JASRACから印税を受け取ることができます。

JASRACにそのお金を振り込んでくれるのは、レコード会社、ラジオ局、テレビ局、映画会社、コンサートの主催者などです。アーティストであるのかソングライターであるのか、またはその両方であるのかを契約の場合も含めて自覚することが、アーティストとして生活していくには必要不可欠となります。

アーティストへのロイヤルティの支払い方法
夢にまで見た印税生活、だれでも一度や二度は考えますよね。バンドの一員としてアーティスト印税を受け取るとすると、新人グループならCD価格の1%をメンバーの数で割ったものが収入にすぎません。

しかも半年に一回、たとえば4月1日から9月30日までの分を集計して11月30日に振り込まれるだけですから、コンビニのアルバイト収入の方があてになります。では仮に大ヒット作品を出し、夢が実現した場合は……これは大きな収入になるので、今から皮算用しておくのも悪いことではありませんね。

アーティスト契約「専属演奏者契約」
音楽ビジネスの中で最も重要な契約のひとつが、アーティスト契約です。
ビートルズやキャロル(矢沢栄吉さん)の時代はアーティストの立場が不明瞭なままで、それが売れた後で問題になり、レコード会社とアーティストが喧嘩別れにいたるというケースもあったようです。

今時の契約は逆にアーティスト側が強くなりすぎて、売れているようでも赤字、というレコード会社が軒並みというケースも目立ってきました。本来両者の立場はフィフティ・フィフティというのがあるべき契約の姿です。

「アーティスト契約」に基づく印税支払い
レコード会社全原盤の場合
アーティスト契約の中には、契約時に定められる「契約金」の支払いがあります。実はこの契約金が高いほど、ここでいうアーティスト・ロイヤルティは低くなるという関係にあるわけです。

ここではレコード会社に100%原盤所有権があり(レコード会社全原盤)、レコード会社が原盤ロイヤルティとして、アーティストにアーティスト・ロイヤルティを支払うという場合の計算について述べます。
話をわかりやすくするために、税抜定価2,700円のCDを例にとって説明しましょう。
さてニュー・アーティスト、つまり過去にメジャーとレコード契約をしたことがなく、仮に1万枚以上のレコードを売ったことがない場合、メジャーとアーティストの間に契約上発生するアーティスト・ロイヤルティ・レイトは1%(1枚あたり約24円=2,700円×0.9× 0.01)が普通でしよう。

エスタブリッシュト・アーティスト、つまり過去に仮に1タイトルで、5万枚以上売れたアルバムを出した実績があるアーティストの場合であれば、2%を交渉でゲットきるでしょう。

スライド式にロイヤルティが上がっていく契約方法もあります。たとえば最初5万枚までが1%(24.3円/枚)で、次の30万枚までが2%(48.6円/枚)、30万枚以上については4%(97.2円/枚)というような形です。


「原盤譲渡契約」に基づく支払い
アーティスト側全原盤の場合
アーティスト側(所属事務所あるいは音楽出版社など)が原盤権を保有している場合(レコード会社から見れば外部原盤の場合)、売上に応じてレコード会社からの原盤使用の対価としての支払い、つまり原盤ロイヤルティをアーティスト側が受け取ることになります。

原盤のマーケットでの価値、言い換えればレコード会社がどれくらい儲かるかに応じて印税率が決まってきますが、11%から17%というのがひとつの目安になるでしょう。

注意しなければならないのは、15%で契約したから2,700円の商品が1枚売れれば405円(=2,700× 0.15)がアーティスト側(原盤側)に入ってくるという、単純な図式は成り立たないということです。

さらに減額される要素があります。容器代控除と出荷控除が、その減額項目となります。計算結果からいうと1枚あたりの原盤ロイヤルティは405円でなく、約324円(=405× 0.9× 0.9)となります。容器代控除10%単純にいうと、 1万枚の工場出荷があっても9千枚の出荷として計算されるということです。デザインやジャケット、CD盤、ケース、シュリンク包装まで、その製作・製造コストはレコード会社が負担し使用権を持っています。「1割も取られて、アーティストは損をしている」という問題とは違います。仮に「ロイヤルティ単価はいくらですか」という契約に関する話し合いがなされている場合、税抜価格2,700円の商品の1%のロイヤルテイ単価は24.3円となります。つまり下記の出荷控除する前の数字、容器代控除だけがされた数字の24.3円が「ロイヤルティ単価」と呼ばれるものです。

1枚あたりの控除額は270円。基準価格は2,430円となります出荷控除10%~20%営業所出荷数の10%(~ 20%)が、マーケットからの返品として戻ってくることを前提に計算されます※1。最近は店もセールスマンも過去のコンピュータで割り出した実績をもとに初回出荷数を算定し無理にそれを積み上げることをしない傾向です。

一般的には10万枚以上売れたものなら5%くらいの返品で済むでしょうが、5千枚くらいの初回のもの、特に新人商品の返品力湾0%くらいになっているというのが実感です。

アーティストにとって理解しなければならないのは、自分のレコードが出たとしても店でお客様が買ってくれないなら、出荷したものすべてが返品として戻ってくることもあるということです。この返品という物流が生じた場合、レコード会社は物流会社に、店から工場に返品商品を動かす経費も支払わなければなりません。つまり純売上が下がるだけでなく、物流経費負担が増えることを意味するのが返品です。

さらにすでに出荷時点でレコード会社がJASRACなりに支払った音楽著作権料は戻ってくるわけではないので、返品はレコード会社にとって大きな損失のもととなるものです。

現実的なマーケット感覚からして返品率はすでにエスタブリッシュされた、つまり「出せばコンスタントに10万枚というアーティスト」は5%くらいで、新人グループは20%から50%かもしれないと思われます。また前作が大ヒットしたアーティスト作品ほど、返品の可能性も高い(お店あるいは営業関係者は、前作の売上に準じて仕入れ数を決めるため)というのが通例です。