DVDとCD音楽再生表現力の比較
レーベルの生い立ちからすると、親会社が映画会社つまりソフト会社であるレーベル〈WEA、UNⅣERSAL、MCA〉と、親会社が機器つまりハードの会社である〈SONY、EMI、フィリップス、ビクター、コロムビア〉では、性格が違うというのが実感です。

「新しいハードが市場で成功するためにはソフトのヒット商品が不可欠だ」というのは、ハード系のレーベルの基本発想であり、「新しいソフトが市場で成功するためには斬新な企画やインターフェイスを積極的に利用・開発すべきだ」というのが、ソフト系のレーベルの発想であると思います。

新しいフォーマットであるDVDについて、最も積極的にソフトとして商品化に取り組んでいるのはWEAグループのようです。まずは既存映画のソフトを積極的にDVDビデオ化し、さらにはアルバム音源のDVDオーディオ化に取り組んでいます。

洋楽のクラシックを手始めにジャズ、ポピュラーヘと新譜が毎月数十タイトルのペースで編集されているようです。
DVDオーデイオはウーハー・スピーカー1台をリスナーの正面に設置し、さらに5台のスピーカーを正面左右前後に設置して聴くことが前提となります。その音場感、言い換えるなら臨場感は生の音楽、より自然な本来の音楽を再現するには、大変に適した再生装置といえると思います。

DVDl枚に収録できるデータの容量は4.7GB(ギガバイト)と、CDの780MB(メガバイト)の7倍、さらに片面2層で8.5GBの情報が記録できます。

また再生周波数もCDの5~ 20kHz(キロヘルツ)に対し、DVD VideoでDC~ 最大48kHz、DVD―AudioならDC~ 96kHzまで可能となります。ダイナミック・レンジでいうなら、CDの96dB(デシベル)に対しDVDは144dBということになります。こうした仕様の比較はその音楽再生表現力の比較として、DVDがより大きな可能性をもちうることを示すものです。

ここでは単純化してCDで発売済み、楽曲もJASRAC登録済みの素材を二次利用して、DVD用原盤を作成するにあたっての費用について考えてみましょう。内容も曲名、演奏者名、静止画の曲イメージ、歌詞字幕、PV(プロモーション・ヴイデオをおまけ映像として加える)程度のごくシンプルなものと仮定します。

まずオーサリング(DVDマスター編集)・スタジオに持ち込む素材としては、以下のものがあります。
①楽曲音源(DAT、1630、CD― R、ベータ・カムなどのデジタル音源マスター)
②テキスト・データ(ストーリー、歌詞、関係者クレジットなど)
③映像画源(DV‐CAM、デジタル・ベータ・カム、CD― Rで動画、静止画データ、ロゴ、警告文など)
④メニュー構成(「シナリオ」画面ともよばれるもの基本動作を指定、ホーム・ページのメイン・メニュー画面と同じようなもの)
以上をもとに専門の編集室でエンジニアが総収録時間60分のソフトのオーサリングを行いますと、現在ならトータルで約50万円くらいのオーサリング経費が必要となります。

そして完成したDVD原盤、すなわち「1枚のDⅥ列の中には以下の権利が含まれます。
①原盤権(含むアーティスト・ロイャルティ、プロデューサー・ロイヤルティ)
②音楽著作権
③映像関連のロイヤルティ(キャラクター使用料、映像著作権の使用料など)

原盤権に基づく権利は原盤元と発売元の間の話し合いで決まりますが、15%くらいでしょうか。仮に税込価格3,800円、税抜価格3,620円、総収録時間60分もののDVD商品としますと、500円が原盤所有者の取り分です。

音楽著作権に関しては、JASRACに登録済み音楽を利用したと仮定すると、シンクロを伴う使用ですからビデオグラムの使用規定に基づいてJASRACに発売元が支払います。音楽著作者が仮にあなたにあるとすれば、JASRAC経由、出版者経由であなたに支払われることになります。