クラリオンが発行している「カラオケ白書」では、93年(平成5年) は、「カラオケメディア維新の年」さとされている。前年の92年辺りから、カラオケにいくつかの新しいメディアが相次いで台頭した。

パッケージ・メディアでは、日本ビクターが開発したビデオCD、それにCDやROMチップなどである。このようにカラオケにおける新しいパッケージ。

メディアの開発とその普及はこれまでも起こっている。しかし、この年を維新の年と呼ぶのは、通信カラオケの出現とその急激な普及をいうのである。通信カラオケは従パッケージ系のメディアに対して、カラオケに初めて登場した非パッケージのネットワーク系のメディアを採用したシステムである。

通信カラオケは92年9月ゲームソフトメーカーのタイトーが、xC_2000というネーミングのシステムで業務を開始したのが第1号であり、 続いてミシン会社のブラザーの系列のエクシングがスタート、93年9月にはリコーの系列のギガネットワークスがスタートしており、94年以降 はセガ。エンタープライゼス、第一興商、パイオニアと日光堂と東映ビデオとJHCの連合軍のビーマックス、日本ビクターなどが参入し、95年までに全10社が出揃った。

これでわかるように、通信カラオケでは従来カラオケの業界にいなかった他業種の企業が早々と参入し、これを業界内の数社が追いかける形となって、熾烈な競争を演じることになった。

しかしこの顔ぶれからわかるように、レコード会社はどこも参入していない。 従来からのパッケージメデイアの映像カラオケは、伴奏の音楽が収録されているCDやLDのなかから、必要な楽曲を選んでプレーヤーで再生するものである。

しかし通信カラオケでは、音楽のデータが通信回線を通してサーバーから送られてきて、店に置かれているシンセサイザーに よって再び音楽として再生演奏される。

この場合リクエストをするたびにデータが送られてくるのではなく、新曲ができたときにまとめて送られてきて、それを店のハードディスク(磁気デイスク)に蓄積しておき、リクエストに応じて取り出すのである。

また映像については現状の容量の回線では動画やクリアな静止画を配信することは困難で、LDやビデオCDに多くの種類の動画を入れておいて、音楽の内容に合ったものを 音楽にシンクロさせて再生する方法がとられている。

即ち現段階の通信カラオケは、まだ完全な双方向の通信ネットワークの形をとっているとはいえない。 カラオケボックスにおける通信カラオケの普及の速度は非常に速かった。

クラリオンの「カラオケ白書1996年版」によると、同年末の全国カラオケボックスの全ルーム数、約16万室のうち、通信カラオケを装備するところは12万3,000室で、全体の約8割を占めるまでになっているという。

新規開店、店舗改装の場合にはほとんどが、従来のパッケージ・カラオケでなく、通信カラオケが導入されていたことになる。 カラオケボツクスを中心に、このように通信カラオケが急増した理由は何か。

それは次の3点に要約されよう。第1はカラオケ店にとって、大幅なコストの削減となったことである。通信カラオケは開設時のハードの設備投資が、パッケージ・カラオケよりも安いうえに、ソフトにか かわる費用も通信費を支払うだけで、CDやLDを買い足していく費用よりはるかに安い。人件費の節約、店舗スペースの節約にも貢献大である。

第2は新曲の供給の早さである。通信カラオケは通信回線で配信されるため、一定の長さを要する製造工程や流通工程のあるCDやLDよりは、 新曲のカラオケシヨツプヘの到着がずっと早い。これは新曲を一日も早く歌いたいという若者の希望にマッチした。

第3は前述のように10社が入り乱れた通信カラオケシステムの販売合戦、シェア争いである。かつてLDとVHDのビデオディスクのシェア争いが、ビデオデイスク全体の市場拡大に結びついたように、企業間の競争のエネルギーが、新しいシステムの普及に貢献した。 通信カラオケは、1992年秋にタイトーなどが売り出したのを皮切りに、第一興商や日本ビクター、パイオニアなどが次々に参入し、すぐさま群雄割拠状態となった新しいカラオケのシステムである。

従来のカラオケが店ごとの装置にCDやLDなどをセットするパッケージ型だったのに対し、通信カラオケは通信カラオケ事業者のホスト・コンピューターから店の通信端末機にデジタル信号化された曲を電話線で送り込む仕組みのいわばノンパッケージ型なのである。


端末機は信号を蓄積し、リクエストのたびに端末機内の電子楽器が曲を再生する。2万曲近くから選曲できるものもあり、新曲もすぐに流せるとあって瞬く間にカラオケ業界を席巻した。

通信カラオケの著作権使用料については、ご存知の通りJASRACと通信カラオケ事業者の団体であるAMEI(社団法人音楽電子事業協会)が激しい攻防を繰り返してきた経緯がある。その間、なかなか妥協点を見出せず、著作権使用料が決まらなかったため、JASRACは長い間、使用料を徴収することも分配することもできなかった。

JASRACとAMEIの攻防と暫定合意について当初、JASRACは通信カラオケについて、ホスト・コンピューターに楽曲を蓄積する際に働く複製権と、カラオケ店に楽曲のデータを送信する際に働く有線送信権の2本立てで使用料を徴収しようとしていた。

複製権使用料が“曲数×11円×端末数(これはJASRACの使用料規程第13節第2項「CDグラフィックスカラオケ」に基づいている)というものと、また、「有線音楽放送」の規程に基づいた、通信カラオケ事業者の営業収入(年間売上)の2%に当たる有線送信権使用料を要求した。JASRACはこれらの使用料の合計が、通信カラオケの著作権使用料であると提示したのだ。

●JASRACが当初主張していた著作権使用料
曲数×11円×端末数(複製権使用料)+年間売上×2%(有線送信権使用料)

一方AMEIは、「今まで第一興商や日光堂などのカラオケ業者が店にテープやCD、LDなどを提供していた時代には複製権使用料しか発生しなかった。

それなのにカラオケの提供媒体がこれらのパッケージから通信回線というノンパッケージに変わったからといって、使用料を二重に徴収するのはおかしい。

通信カラオケだからと言って、お客へのサービス料金を上げることはできない。音楽の利用形態が同じなのに、音楽の提供媒体が違うだけで著作権使用料が多くなるのは納得できない」と反論。

またJASRACが許諾の条件の1つとして提示した配信先店舗名簿の提出の問題も、さらに事態を深刻化させる要因となった。

これを受けJASRACも、1曲の複製使用料が11円というのはビジネスの状況から見ても高すぎると考え、当初の5年間に限って減額するなどの妥協案をAMEIに提示。結局、1996年7月に両者の間で、1995年9年30日までの3年間の使用料が暫定合意に達した。算定方法は以下の通りである。

基本使用料について通信カラオケには、ホスト・コンピューターに楽曲を蓄積する際に働く複製権と、カラオケ店に楽曲のデータを送信する際に働く有線送信権(1998年1月1日より公衆送信権)という2つの権利が働く。

JASRACも当初はこの2本立てで使用料を徴収する規定案を出していたが、今回合意された内容はそれとは異なる考え方に基づいている。つまり、今回の規定については、複製権や有線送信権などの支分権が複合して利用されることから、従来型の支分権ごとの算出方式ではなく、入口から出口までをまとめて1つの利用形態としてとらえ、合理的でわかりやすい規定とするというJASRACの方針に基づいたものなのだ。

具体的には、著作物データのサーバーヘの複製からカラオケ店までの送信、さらに端末機器への複製を1つの利用形態としてとらえるということである。ただし、そうは言っても、実際には楽曲の利用の規模を評価する「基本使用料」と、楽曲の利用の実績を評価する「利用単位使用料」の合計で使用料は算出されるのである。


著作権に関する意外に知らない⑩のこと
1.著作権を取得するために届け出る必要ない。©は、著作権があるものを指定するために付ける必要はない。
2.著作権はその作家が生きている限り続く。それから、作家の相続人が所有してからさらに70年間は生きている。
3.雇用期間に作った作品、もしくは変名及び匿名で出版した作品は、その作品が発売された日に従って95~ 150年間は著作権がある。
4.著作権法の重要な目的は、“科学の進歩や有用な芸術を奨励する"ことである。
5.著作権の所有者は、彼/彼女の作品に関して以下のような権利を持っている。再生産、演奏、公での展示、その作品から派生した作品の作成等の権利、そしてその作品をディストリビュート及びコピーする権利。
6.創造するためのアイデアは保護されていない。
7.インターネット上の音楽とサウンドは、MIDI音源を含めて著作権が保護されている。
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