1.カラオケの音と画像がもたらす色々な効果
ホルモンバランスを整えるリズムや音色、メロディーが脳を刺激
埼玉医科大学短期大学の音楽療法に関する研究では、音楽を聴くことや歌うことが脳にどう影響するかが明らかにされています。→音楽療法は音楽の持つ回復力で薬に変える効果のまとめ

それによれば、音楽のリズムは左脳に、音色とメロディーは右脳に作用します。それによって前頭葉(大脳の前方部分)の頂点や側頭葉(大脳の側面)が刺激され、脳が活性化するといいます。

また、演歌の楽曲にもしばしば隠されている高周波音は、脳に刺激を与え、脳内の血流をよくすることもわかってきました。脳の血行がよくなれば、脳梗塞の予防認知症の予防・改善も大いに期待できますし、何より脳が若返ります。

2.性腺刺激ホルモンを活性化する作用も
通信カラオの音や映像が、脳の中の視床下部や脳下垂体を刺激することで、性腺刺激ホルモンの分泌が活性化するという研究報告があります。

また、埼玉医科大学短期大学のケーススタディでは、歌の世界に入り込み、情感豊かに歌っていると、性腺刺激ホルモン分泌の活性化が認められた中高年男女が多数いたと報告されています。

視床下部は大脳皮質の下方に位置する間脳にあり、自律神経や内分泌系の中枢として、体温や消化、睡眠、性機能などを調節する働きをしています。

少し専門的表現になりますが、この視床下部には私たちの性にかかわる重要な部位がたくさんあります。

男性では、前方にある内側視策前野や上部中央部にある背内側核という部位が、交感神経と副交感神経に作用して性欲や勃起、射精といったことをコントロールしています。女性では、視床下部の中央下部にある腹内側核という部位に性欲中枢があり、性欲をコントロールしています。

余談になりますが、この女性の腹内側核は、不思議なことに男性とは異なり、満腹中枢と重なっています。

構造的に見ても、腹内側核の前方3分の1は性欲中枢ですが、その中央部に満腹中枢が重なっていることが脳医学の研究でわかっています。昔から、女性の食欲は性欲に通じると俗にいわれますが、こうした脳の構造から考えても、あながち俗説ではないかもしれません。

脳下垂体については、そこからは性腺刺激ホルモンだけでなく、男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストログン)が分泌され、性欲を克進させます。じつは、その行程でアドレナリンやノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなども分泌されます。

ですから、カラオケで歌うことで、こうした脳内ホルモンの分泌が活性化されると、それは同時に、性的な面の活性化にもつながるのです。

もちろん、歌ったからすぐそうなるというわけではありませんが、正しく栄養を摂取しながら、継続してカラオケを続けていくと、こうした面での若返り効果も期待できるということです。
3.ホルモン分泌をさらに活性化
人前で歌うと、日常では体験できないことを体験しているという心理的効果も生まれます。たとえば、温泉に行くと楽しくなるでしょう。それは、ゆったりと温泉に浸かって疲れを癒せる楽しさだけでなく、日常生活を離れていること自体にも楽しさがあるからです。このことを心理学では「非特異的変調作用」と呼んでいます。→人前で歌うことでパニック症候群が解消したり健康促進効果がある

これと同じ心理効果が、カラオケにおいて人前でスターになったような気持ちで歌うときにも認められます。
この非特異的変調作用には、ホルモンの分泌を活性化する働きがあります。カラオケハイでも説明していますが、カラオケにはホルモン分泌を活性化する働きや、ホルモンバランスを整える働きがありますが、非特異的変調作用は、エンドルフィンの分泌を刺激します。それによって、モルヒネと同じ鎮痛作用がもたらされます。

また、エンドルフィンが女性の肌に作用すると潤いがもたらされます。男性ならば顔の艶がよくなり、見た目の若返りも期待できます。
それから非特異的変調作用は、ノルアドレナリンの分泌も活性化します。これによって、精神がリラックスします。→カラオケハイもあった!音楽と一緒に歌ってエンドルフィンを分泌
さらに、ドーパミンの分泌も活性化されます。これによって、沈んだ気分が高められます。
参考までに、このドーパミンはパーキンソン病(脳神経の疾病)や認知症にも効果を与えるといわれています。それから、アドレナリンの前駆体でもあるドーパミンとノルアドレナリンの分泌が活性化されると、アドレナリンの分泌も活性化されます。

このアドレナリンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、気分が高揚したときに働く代表的な神経伝達物質です。血糖値を調節する作用や、心臓機能を強化する作用、末梢血管の血流を促進する作用などがあります。

人前で歌うようになってから息切れが少なくなり、冷え性が解消されたという人が多くいるのは、こうした非特異的変調作用の影響もあると思われます。

そのほかに、セロトニン(腸管などの平滑筋の収縮や中枢神経細胞の興奮伝達に働く物質)の分泌量も増えます。セロトニンが減少すると、気分が恒常的に沈みがちになり、落ち込みがひどくなったりしますが、それも人前で歌う機会が多くなればなるほど、セロトニンの分泌量も増えて、だんだん改善されていきます。

非特異的変調作用には、もう一つ見逃せない健康効果があります。それは、変身体験によるストレスの解消です。カラオケで歌っているうちに、その歌のヒロインやヒーローと同化してしまい、自分の人生とは違った世界に入り込んでいる、そんな体験をする人は多いと思いますが、それによってストレスが解消されます。


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