音楽は人間にとってどんなものか

音楽の存在意義音楽とは、私たち人間にとって一体どういうものなのか?

それは、人間が生まれてから死ぬまでの限られた時間と空間の中で感じる「恐れ」「喜び」「悲しみ」といったさまざまな情感を、この瞬間の「生」の中で感じるために私たちが生み出したもの。

それは、「食」の快楽とも「性」の快楽ともまったく違う「幸福感」を私たちに与えてくれるものでもある。
「私たち人間が音楽に求めるものは一体何なのか?」

それは、果てのある限定された人間の「生」という時間と空間の中に、果てしのない時間と空間を作り出すこと。

なぜならば、音楽こそが、果てしのない時間と空間、つまり、恐れの「異空間」にも喜びの「異空間」へも自由に行き来することのできるスイッチそのものなのだから。
人間の「永遠の記億」はいつも「音楽」の中に眠っている。
 



音楽と楽譜

音楽に楽譜は必要なのか?
現在、クラシック音楽には即興演奏がほとんど残っていない。
かろうじて残っているのが、中世ルネサンスからバロック期の音楽と「実験」としての現代音楽の一部である。そして、限界を象徴している。

単純に考えて、「書かれた楽譜」が存在しないなら、その音楽の演奏と伝承は口伝えや実際の演奏の中で行われるしかない。演奏がその場の状況に応じて即興的に行われたのではないかということは十分に推測できる

ギリシャ、中国のように、為政者が国を統一しようとする時には、社会全体のルールの統一が必ず必要になってくる。

それが、政治=儀式=音楽と位置づけられていた時代であればなおさらである。
このルールに合理性がなければ、民衆も納得することはできない。

だから、古代ローマ・ギリシャ文明から始まったヨーロッパ近代国家が記号としての楽譜や音楽理論を生み出していったのは歴史的な必然であり、音楽が、より個人主義的な作業になっていくことを大衆が十分に納得し容認した結果、現在の音楽の枠組みが出来上がったのである。