地域交流に手軽に参加できるカラオケ大会という自己表現の場所

地元の公民館をのぞいてみてほしい。毎週必ずと言っていいほど、カラオケ大会(歌謡祭と呼ばれることもある) が行われているはずである。

土・日は利用者が多いので会場確保が難しく、平日開催も増えているほどだ。そこでは地元に暮らす中高年の方々を中心に、地域交流が盛んに行われている。

主催者は近隣のカラオケ同好会や歌謡教室、カラオケ喫茶、そしてそのオーナーや先生を努める歌手などさまざまだ。これらのグループをいくつか束ねて行うこともあり、その場合は規模も大きくなる。近年では出場者(実際に舞台で唄う人) が100人を超えることがほとんど。

地域ごとの予選会を行い、上位入賞者が全国大会に出場する全国規模のカラオケ大会もある。カラオケ大会の大型化は10年ほど前から始まった。出場料は、ステージ上で2コーラス唄うだけで1万円以上かかるものから、最近は1コーラスで9000円か平均値だ(2008 年11月)。出場者は半年から1年間みっちりと歌を練習し、最大限のお洒落で着飾って登場する。

普段の行きつけのカラオケスナックやカラオケ喫茶とは比べ物にならない、プロの歌手が立つような大きなステージが用意されている。カラオケで唄う、という普段の楽しみが、一つ上の緊張感と達成感を得られる特別の舞台に変わる……

まさに、カラオケそのものが定着した故に現れた、刺激的なカラオケ形態なのだ。大型化が進むに連れ所要時間も長時間化し、開催はほぼ1日がかり。内容も、参加者を飽きさせないような工夫が随所に凝らされている。

大まかに分けると、単純にステージ上で歌を披露するだけの。発表会部門、審査員に歌唱力をチェックしてもらう。審査会部門がメインイベントで、さらに、日舞やフラダンスなどの踊りのコーナーやプロ歌手をゲストとして招いた歌謡ショー、歌唱カアップのためのセミナー、歌の講師やプロによる友情出演コーナーなど、あの手この手で楽しませてくれる。

これらの主催者はイベントのプロではなく、アマチュアが中心だ。舞台のセットや看板など、主催者たちが手作りで用意している場合も多いが、近年は出場者も「唄いやすさ」を求めるようになり、音響や照明などは会場によってプロの手を頼むことが多くなってきた。

先ほど紹介した出場料は一見高いようにも思えるが、その中から会場の使用料金、受賞者のためのカップやトロフィー、副賞となる賞品・賞金、審査員や司会者、ゲストのためのギャラ、音響や舞台設営のプロに発注する代金、「演奏会における演奏」扱いとなる歌の著作権料、パンフレット制作料金、そして出場者のためのお弁当代やお土産(参加賞など)代……などを捻出している。

さまざまな気遣いまで含め、主催者や実行委員会のボランティア精神なしでは成り立たないのだ。

地域のお祭りとしての色が濃ければ濃いほど、主催者やスタッフの人柄や、イベントにかける志というものが、集客に結びつく。カラオケ喫茶やサークルでは、小さい大会を毎月一度行い、年に一度は大型のお祭りとして大きな会場で行う場合が多い。こういった地域交流、街おこしの場としてのカラオケ大会には、地元の新聞やテレビ、ケーブルテレビ、そして自治体や政治家の後援会なども注目し、スポンサーとして名を連ねていることも多く、そのパイプ役となるのは地元の世話役たちである。

チャリティーで行われる大会も多い。そうすることによって、会場によっては使用料が安くなることもあるのだが、自分たちが唄う=楽しむことによって社会の役に立つことができる、という参加者たちの思いを満たすことも、地域イベントとしては大切なものであるといえよう。