1. MPEGの時代にカラオケはどう変わっていくべきなのか

MIDIと違ってMPEGは生音をデジタル圧縮(エンコード)し、復元(デコード)する技術だ。デジタル放送やDVDの標準圧縮方式として採用されて世界中にひろまった。

1970~80年代から、NHKを中心に、世界に先駆けて開発されたアナログハイビジョンの目玉は、独自の「MUSE圧縮方式」だった。

ところが欧米はこれを採用するどころか、完全デジタル方式にシフトしてしまった。その中核がMPEG2デジタル圧縮方式であった。

日本も2000年からデジタルHDTVデジタルハイビジョンテレビに切り替えたため、長年のMUSEの開発投資はフイになった。このような社会システムでデジタル化の動向を読み違えると大変なことになる。NTTのISDNについても同じことがいえる。

MPEGは、1988年に発足したISO(国際標準化機構)のデジタル動画圧縮伸長方式の検討グループのことで、グループ名が規格名になったのである。

MPEGIは最初の映像圧縮方式で、1.5Mbps程度の転送速度が必要な比較的シンプルな方式で、もっぱらビデオCDに使われ、画質はVHS程度といわれる。

MPEG2はMPEGIより高い性能の圧縮方式で、デジタル放送、DVD、PC動画など、現在主流の方式であるが、プロファイルとレベルによって最終的な画質に大きな差が出る。

DVDにはメインプロファイル&メインレベルが採用され、俗にDVD画質と呼ばれる。MPEG2は2~20Mbpsクラスの転送速度を想定している。

MPEG4‐AVCは、MPEG4と通信規格のH.264を統合させた、より高圧縮の方式で、ケータイのテレビ電話といった低速・低画質の用途から、HDTV放送などの大容量・高画質の動画まで幅広い用途に用いることを想定している。

MPEG2に比べおおむね圧縮率は倍になる。「ワンセグ」放送、ゲーム機「PSP」、「ブルーレイ(BD)」、アップルの「Quick Time」で標準圧縮方式として採用されている。

今のところ、カラオケの圧縮技術は音声に関して、MPEGの音声よりも、MIDIに軍配があがるが、近未来、将来は選択肢が分れそうである。

1つは、MIDIを踏襲し、これに改良を重ね、よりリアルな臨場感と新しいエンターテイメント機能を充実していく方向。

もう1つは、MPEG4‐AVCや次世代ネットワーク技術を大胆に駆使し、生演奏、生映像、5.1サラウンドの高臨場感を追求する方向であるが、判断が分れる所である。


2.デジタル信号処理による隠し技
ボックスで選曲していると、生演奏、歌手本人の映像などが結構収録されている。気にとめる人は少ないが、裏に案外凝った仕掛けがある。
生演奏のMPEG圧縮音声にリアルタイムデジタル処理を施して、曲のピッチを巧みにコントロールしている。

今や、こうしたデジタル信号処理による機能の多彩さにはビックリする。デジタルエフェクタによるハモリ生成、ボイスチェンジャーなど。

著作権契約もシンプル→カラオケと著作権について
1機能など、よくもというほど自由自在になった。またMIDI音源とMAV音源(CD音楽などの生音ベースのファイル)の同期も簡単にとれ、生拍手や、生コーラス、生デュエットなども楽しめるようになった。


この記事を見た人は、下記にも注目しています!