生の楽器とデジタル楽器の違いシンセサイザーのような電子音の楽器は、私たち人間に一体どういう意味を持っていると考えればいいのでしょうか?

ゲーム器が世の中に普及し始めた頃の音楽を思い出してもらいたい(と言っても、今でもその音は健在なのだが)。

あのピコピコサウンド、携帯電話の音とどこか似ている気がしませんか。その音こそが、シンセサイザーなどの電子楽器の音のもつとも基本的な音なのです。

空気の振動は、空気の圧力変化。それは、波の始まりがあって、波の終わりがあるという意味では、まさにアナログ的な振動の変化です。

初期のシンセサイザーの音は、こうしたアナログ的な振動の変化を電気的に変化(モジュレ—ト)させて音を作っていました。

しかし、デジタル音源のシンセサイザーでは、すべての音をデジタル化して作り出す。デジタルということばだけで頭をかかえこむ人には、こう考えてもらうとわかりやすいです。

新聞の写真の原理。印刷された写真は、黒い部分と白い部分の組み合わせだけで映像が形づくられています。デジタル化というのは、この黒と白をスイッチのオンとオフに置き換えたもの、その集合体です。

楽器の音の場合には、実際に聞こえる音の周波数(波形のことと思ってもらえばいい)の音を標本化して作り出すのですが、「標本化」というのは、実際のCDの場合、一つの音の周波数を一秒間に、44100個の標本にすること。これが、よく電子機器に書いてある44.1khzということばの意味です。

これだけ細かく標本にすれば、大体の音は標本化されることになる。

そして、それをデジタル信号の大きさに数字として写し替える(数値化という作業)、最後に、この数字をコンビューターで処理できる二進数で現す作業〈0と1の数字に置き換える作業で、エンコードと呼ばれる)で初めて、「音がデジタル化された」ということになります。

つまり、ことばを変えれば、デジタル音というのは、「音の標本」ということなのです。

ゲーム器や、シンセサイザー 、TV、DVD、CDなどの音は、すべてこの作業から作られるのですが、ここで見落としてならないことが一つあります。

こうやって作られた音は、ほとんど、実際の自然界の音と原理的には変わらないように見えるのですが、実際は違います。その違いこそが、生の楽器の作り出す音楽とデジタル楽器が作り出す音楽の違いなのです。