歌の練習は1日2~3時間が限度
都内の3つの音楽大学の声楽科の学生たちを対象に調査したことがあります。それによると日本人学生の場合、平常1日3時間以上の練習をすると、過半数が音声の異常を訴えています。1日の練習時間では、男女とも2~3時間で疲れを感じるようです。

歌を歌うひとたちの練習時間は、1回の練習量として、平均20~30分が適当です。1日としては、1時間半くらいということになります。この調査で、一般に女子は男子より疲れやすく、声種別ではソプラノ、テノールのひとは、アルト、バスのひとよりも疲れやすい結果が出ています。また、声楽の経験年数の少ないひとは、多いひとよりも疲労しやすい傾向も認められております。

現役を引退する直前の頃に来日した往年の名ソプラノ、E・シュワルッコップを治療したときの話です。練習時間と休憩時間について質問すると、彼女はこう答えてくれました。

「若い頃は1日のステージ(2~3時間)のあと、翌日を1日休めば、だいたい元の状態にもどりました。現在(当時56歳)では演奏後まる2日間休まないと、いい状態にもどりません。必ず、なか2日間あけるというペースを守っています」

年齢とともに、回復力も衰えてくるのです。
「森進一みたいな歌いかたでは、さぞや疲れるでしょうね」
見た目には苦しそうだからなのか、こんなことを尋ねられることがあります。本人に聞いたこともないので私にはわかりませんが、ただ、歌いかたによって疲労度が違うことは確かです。非常に発声のいい場合、疲労は少ないでしょう。



声には疲れがいちばん影響する
疲れると、大きな声を出したつもりでも、相手は聞きとりにくかったりします。
一口に疲れるといっても、しゃべりすぎの疲労もあるでしょうし、睡眠不足とか運動のしすぎによる疲労もあります。長時間しゃべりつづけたときの疲労というのは、声帯自体の疲労というより、声帯を動かす筋肉が疲れるわけです。寝不足や肉体的な疲労が、その筋肉に影響を及ぼすことももちろんありましょう。

英国には29時間12分ノンストップで政治演説をつづけて、世界一長広舌家の記録をうちたてた青年がいるそうです。レイ・ハッター(当時28歳)というこの青年、政治団体の副党首だそうですが、どんなことをしゃべったのでしょう。

声を使う量としては、一般に1日3時間くらいを超えると疲れます。声が疲労したとき、歌声にはさまざまな症状が表れます。

第一に音程が狂いやすい。というのは、疲れてくると背が低くなりがちだからです。最初のうちはこの狂いに気づき、意識的に調節していくでしょうが、疲れが増すとそれができなくなってしまいます。
第二に音質が粗雑になる。耳障りな不純な音として聞こえます。ことに声区が変わるときに起こりがちです。

第三は、声割れという現象が起こります。声帯などを動かす筋肉が突然調節しにくくなり、場合によっては声が出なくなる。肺からの空気がただ声門を通過するだけで、声帯が閉じにくいため、振動させられないこともあるのです。かなり障害が進行したときに起こります。

その他、疲労してきた声の状態としては、やわらかな声が出せなくなったり、震え声になったりするようです。
 



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