テクノという一風変わった音楽が今も昔も形を変えながら魅了している
1. テクノ音楽の昔と今今のテクノは、聴くのでなく浴びるのだって主張してるライターの人がいるんだけど、結構それって的を得てると思う。いにしえのテクノ・ポップにしても、ひと頃のジュリアナものにしても、一般的にテクノと言ってすぐ認知されるようなモノって、やっぱりメロがあって、展開があって、サビがあってっていう従来のポップスのルールを守った音楽」だった。

でも、今クラブに行って浴びることの出来るテクノは、メロ無しでずっとビキビキいってるだけ。普通の人には「なんでこんなもんわざわざ聴くんだ」的な否音楽だったりするわけですよ。

でも、テクノ・ポップスの始祖クラフトワテクノークだって「トランスは常に反復であり、誰でもトランスを求めている。

生活の中にも、セックスにも、高まる情感にも、楽しみの中でも、パーティーでも、何にでもトランスを求めている。

機械は完璧なトランスを作り出してくれるって言ってるし、メロとかそういう余計なモノをほとんど取り去って、その機械の作るトランス(反復グルーヴ)だけを残したのが、今のテクノなんじゃないかな。

昔は、シンセの音(電子音)を使ってるってだけで新鮮で、テクノって言われたけど、クラブ・ミュージックとして台頭してきた今のテクノは、別に、当時みたいに新しいモノをひけらかすような作りは全然してない。

むしろ、10年以上前の古い機材を使ってたりする。確かに、今でも音の奇妙さをウリにしてる部分はあるけど、それって、成長中の音楽には不可欠で、そういう要素のあまりにない今のロックとかは、逆に開塞してて、不健康だと思うけどね。

80年代後半のハウスが、日本では「流行リモノ」に終始して、根付かなかったのに対し、テクノは日本のユース・カルチャーに初めて揺さぶりをかけてる。メディアやレコード会社の知らないとこでアナログ盤が飛ぶように売れ、渋谷にはテクノ専門のレコード・ショップができた。→レコード会社と音楽について

10代の子供達がクラブに通い、DJになったり、打ち込みを始めたりする。10近くのテクノのインデイー・レーベルがコンスタントに作品を出し、そのうち幾つかは海外でも国内と同じように売れてる。

国内盤の出てないアーティスト/DJが毎週のように来日し、千人近い客を集める…。これだけの事例をあげてもまだ、何かが起きていることに気付かない人はいないでしょ。音楽産業どころか、若者市場の構造や流通を根底から覆すようなすごい変革が、このヘンテコな音楽のもたらした副作用なのかもね。 


この記事を見た人は、下記にも注目しています!