声の健康維持健康を維持するためには、根本的に声帯は湿度を保ち、濡れていなければなりません。これが基本概念です。

声帯は超高速で振動している臓器であるために、濡れていないと摩擦を起こしてしまうのです。適度に湿度を保つには「鼻呼吸」が理想的です。口呼吸では、乾いた空気がそのまま声帯を通過してしまうので、気をつけるととも部屋の湿度管理やタバコの煙にも注意が必要です。


風邪をひくと鼻声になったりするように、体の異常を声で察知することは可能です。手が痛い、足が痛いというのは無理ですが、呼吸器官の異常はわかるかもしれません。

ただし、聴覚的訓練ができたひとでないとダメです。耳鼻咽喉科の医者で、いつも声帯を診察したり声を聞いている人だと、声を聞いただけで声帯にどんな変化が起こっているか、共鳴器官に異常があるか、など大ざっぱには想像できます。

なんらかの理由で発声の機能に異常があるのですが、発声するときに苦しがるなどの特徴があり、ほぼ、声でわかります。

しかし、なんでもわかるわけではありません。声がかすれているといっても、声帯にポリープができているのか、マヒしているのか、声を聞いただけでは区別できません。

いずれにしても、慣れない素人が声によって体の異常を発見することはむずかしいでしょうが、ふだん会っているひとなら、その声である程度の健康状態は見抜くことができると思います。


声を出すということは、ほとんど全身の器官が多かれ少なかれかかわり合っているので、体のどこか一部に障害があっても、すぐ声に表れるのです。胃腸の具合が悪くても、強い声が出せなかったり、低い声になったりいろいろです。

内科医は体を診察すると同時に顔色や声の調子、しゃべりかたなども診断の材料にします。

熟練した小児科医のなかには、赤ちゃんの泣き声だけでどこが悪いか判断がつくひとさえいまそれに精神状態も影響します。肉体的にも精神的にも健康であることが、よい声の第一条件。声は健康のバロメーターともいえましょう。



カラオケポリープ

近年のカラオケブームによって、声帯のポリープが多くみられるようなになってきました。その名もカラオケポリープです。

なぜポリープができるのか原因としては
〈原因1〉連続して歌い過ぎる
〈原因2〉環境の悪さ
〈原因3〉へたの横好き
以上のことが重なるとカラオケポリープの発病が高くなります。

回避方法
原因1
一度歌いだしたら止まらないという方には要注意です。とくにヒトカラもはやっているので、ついつい調子に乗って歌い過ぎてしまうので、適度なインターバルをとることを忘れないようにしましょう。

原因2
カラオケボックスに見られる、タバコの煙が充満したような換気の悪い密室です。さらにクーラーや暖房で室内の湿度が低くなると、最悪の環境になります。

原因3
自分のお気に入りの歌手を真似してうたいたがる人がよくなります。モノマネとまではいかなくても、誰かのような真似をするレベルでも注意が必要です。

発声には声帯の筋肉運動が伴うので、体操でいえばいきなりオリンピック選手の技を経験ゼロの素人がするようなものです。そんなことをすれば怪我をする可能性が高くなります。このようなことがカラオケポリープの原因となっているのです。




その他の病気や注意すべき点
こうした声の病気を、少し体系的に説明しておきましょう。
声の障害を原因別に見ますと、

①器質的な発声障害(声帯そのものに傷がある、腫れている、炎症で赤くなっているなど、具体的変化のあるもの)
急性喉頭炎
最も多く見られる症状で、程度によって違いますが、風邪による上気道炎が最も一般的です。
高い声が出なくなる、だみ声、しわがれ声となり、ひどくなると声が出なくなります。はじめは風邪のような状態で、分泌物も透明のものからだんだんと粘液性のものとなり、ウミのようになります。
炎症がのど全体に広がると、力ラカラに乾燥したようになったり、熱くなったりします。ときには、ものを飲み込むと痛みを感じます。
発病は急ですが、一般に軽いものが多く、治療すれば治るのも早いようです。

慢性喉頭炎
急性の喉頭炎がまだ完全に治らないうちに休養もせずにいるとか、無理な声の出しかたをつづけていたりするとなります。軽いうちはのどが疲れやすい程度。進むと、しわがれ声になったり声が出なくなることも…。

声帯出血
女性の生理時などに起こりやすく、声帯の片側あるいは両側から粘膜下出血。稀には男性にもあります。自律神経の異常によることもあるようですが、原因不明のことが多いようです。声はしわがれ声になり、ピッチは下がります。一度出血すると、習慣的になることが多いので注意。

声帯結節と声帯ポリープ
声帯結節は声帯のへりの一部にでき、手や足にできるまめやタコのようなもので、声門の閉鎖が不完全になります。声はすぐ疲れて、しわがれ声になってしまいます。
声帯ポリープも、多い症状。小さなキノコのようなものが、声帯の粘膜に発生します。結節と同様で、声帯が閉じにくくなり、隙間ができて、息がもれるようになります。ポリープはとらないと声もよくならないし、筋肉に負担がかかって、のどが疲れやすくなります。
歌手、アナウンサー、俳優、政治家、学校の先生、バスガイドといった声をよく使う職業のひとで、特にのどを詰めて発声するひと、絞りだすように演歌を歌うひとたちは、結節やポリープができやすいのが特徴です。

喉頭ガン
声帯やその周囲にできるガン。声帯にできた場合は声がまずしわがれます。しかし、その周囲にできた場合は声の変化もなく、のどにかたまりのあるような感じとか発声時の異物感、ものを飲み込むときの異物感、といったわずかな症状しか表れないことが多いので、発見が遅れがちです。
風邪の場合のかすれ声なら、せいぜい1週間から10日もすれば治ります。原因もなくかすれ声が数か月つづいたり、血タンが出たり、食べ物が通りにくい、などの症状があるときは早めに専門医に診てもらうことです。

マヒ
中枢とか末梢的な神経のマヒあるいは発声に必要な筋肉のマヒなどで、発声器官が活動しない症状。

②器質的な病気が認められなくても発声障害を起こすもの
声を使う職業のひとに多い音声衰弱症
おもな原因は声の乱用です。しかし、精神的、心理的要因もからみ合っていることが少なくありません。
歌手の歌声衰弱症。教師、僧侶、俳優牧師、政治家、電話交換手、アナウンサー、ガイド、車掌、呼び売り商人たちの、声を妨げる話話衰弱症。自衛官、体操教師など号令に起因する、号令衰弱症などもあります。

神経質なひとに多い心因性あるいは機能性発声障害
感情や情緒が不安定なひとがなりやすく、恐怖、驚き、苦悩などのショックで突然、声が出なくなります。声門を開けたり閉じたりするための筋肉の末梢の機能はなんでもないので、せきとか笑いなどの反射的な声は出ます。ヒステリー性の発声障害などはこの例です。

けいれん性発声障害
これも心因性ではありますが、神経機能が過緊張になるのが原因。ふだんしゃべっているときはなんでもないのですが、職業上、緊張して声を出そうとすると声が詰まったり、途切れたり、ひっかかって出なくなったりします。弁論大会などで演壇に上がったとたんに声が出なくなったり、重要な商談で相手と応対しようとしたら声が出なくなるのも同じ。アナウンサー、電話交換手などでは、仕事のときだけに起こるケースです。

もの真似による声の障害
子どもがテレビなどの奇妙な声を真似ているうちに、本刈に似てしまうようなこと。親とか教師に似ることもあります。

学童きせい
学童の6~7%がかかるといわれ、比岐的多い病気
学校へ行きはじめた子どもが、大声を出したりはしゃぎすぎるなど、声の無理な使いすぎが原因。声帯にタコやまめのような結節ができていることが多いのですが、声を使わせないようにすれば自然と治ります。日ごろから無理な発声をさせない注意が必要。

タバコ
身体にとって悪影響であるのは誰でも知っていることでしょう。ニコチンの影響であるとか、がんを誘発するタールの問題などケミカルな影響がありますが、タバコの煙は100%乾燥しています。

つまり湿度は0%です。喫煙は声や喉にとって過酷な環境を強いることになるのは間違いありません。くれぐれも気をつけましょう!

アルコール
ではアルコールはどうでしょうか?声にとってはタバコと比較しても、決して悪い関係ではありません。むしろ少量のアルコールであればよいくらいなのです。

アルコールによって身体の分泌機能が活発化するので、喉頭に粘液が多量に分泌されオイルが増えるわけです。
ただ摂取量が増えると声帯が内出血を起こしやすく、ポリープも発生しやすくなります。ほどほどが一番です。