合唱は教える先生の知識や指導が大切になる
合唱について
吹奏楽もそうですが、音楽との濃密な出会いが、中学または高校時代の合唱部だったという人は多いのです。音楽大学の声楽科や教育科(先生になりたい人のための科)にいる人の三分の一はそうではないでしょうか。吹奏楽の場合は上級生が勧誘するのですが、合唱の場合は顧問の先生が直接声をかけることもあるようです。授業でちょっと声をきいて、戦力になると直感するのでしょうね。

歌は誰でも歌えますし、楽器を介さないだけ、感情を直接表現することができ、仲間意識も向上します。吹奏楽部員の想い出話にあまり合宿のことが出ないのに、合唱部の場合はそれを含めて全員の記憶が鮮やかだということもそれを如実に示しているでしょう。

ただこれは指導者の責任ですが、発声練習は生徒任せ、すぐに曲の練習に入るという稽古の連続では、二つの問題を抱えることになります。一つは発声方法を個人的に体得できないこと、つまり一人で歌うにはやや大雑把な声になってしまうこと、もう一つは音楽の基礎知識(楽典など)がなおざりにされがちだということです。

これを是正するためには、卒業生でもいいので、その部がめざす方向にあるヴォイストレーナーを呼ぶこと、練習している曲を用いて楽典の知識をそのたびに与えて行くことが必要とされます。たとえば全員での稽古中に、隣の部屋でいいから一人ずつ数分の個人指導を受けるとか、楽譜に出て来る用語を訳させるとか、細やかな指導をしなければなりません。

ただ困ったのは先生が偉くなってくると(コンクールで賞を取るとそういうことがあるのです)、自分の過ちに気が付かないことがあることです。

また有名女子校ですが、#や♭の臨時記号(その音のみを半音変える)を、オクターヴ上下も有効と教えていて、それも真赤な嘘ですが、生徒たちは「うちの学校の決まりらしいです」と言っていました。でもその高校から音楽大学を受験した人は、試験でその間違いを犯していたのです、可哀相に…。もう一つ、厳しい先生は「伴奏も暗譜しなさいと命ずるようですが、伴奏とは合唱に何か不慮の事故が起こったときに誘導する役目なので、その必要はないのです。

高校生までのうちは、指導なさる先生を最上であると思ってしまうもので、それは必要な態度ですし、ある時期まではそう思うことも大切なのです。しかし、物事を批判的に見る態度もいつか身につける必要もあり、それが音楽大学に入ったときではないかと思うのです。

団体の中ではその方向性もありますから、勝手な意見は口にできないでしょう。ですから、そこを離れたときに、その先生を敬愛する気持ちを持ちながらも、そっと忠告なさるのがいいでしょうね。そうすると、あなたもいずれ指導者に迎えられるかもしれませんよ。

指導者、つまり合唱指揮者とは、本人が自覚しないうちになっているもののようです。そして、オーケストラの指揮者のように音楽上でボイコットされる可能性も滅多にないので、その意味では気が楽です。

もっとも、同じ相手とずっと上手く付き合っていくという、結婚や小学校教師のような地道さは必要です。しかし相手はついこの間まで仲間だった人たちですし、複数いるわけです。