1.ワールドイベントと日本の音楽
まず過去に日本で開催された夏季、冬季五輪のドラマを振り返ってみよう。
昭和39年第18回東京オリンピック
入場行進曲「オリンピック・マーチ」作曲者は、日本のスーザと言われた古関裕而だった。式典序曲は、黛敏郎作曲「オリンピック・カンパノロジー」。陸上自衛隊音楽隊によるファンファーレ(今井光也作曲)。

芸大生ら350名による「オリンピック讃歌」(アテネ大会でギリシャのサマラが作曲)。
巷間に流れていた音楽は、「東京五輪音頭」(宮田隆作詞、古賀政男作曲、歌・三波晴夫、橋幸夫、つくば兄弟、神楽坂浮子、三橋美智也、坂本九、北島三郎・畠山みどり、大木伸夫・司富子)、「海をこえて友よきたれ」(土井一郎作詞、飯田3郎作曲)。

この2曲はNHK制作で、レコード各社の競作でレコーディングされ、各社から発売された。
「東京オリンピックの歌この日のために」(鈴木義夫作詞、勝承夫補作、福井文彦作曲、飯田信夫編曲、歌・三浦洸一、安西愛子、ビクター合唱団)、「東京オリンピック音頭」(山川茂男作詞、佐伯孝夫補作、馬飼野昇作曲、寺岡真三編曲、歌・橋幸夫、市丸、松島アキラ、神楽坂浮子、ビクター少年民謡会)。

この2曲は公募投票で選ばれ、1962(昭和37)年に制作された。選定は日本体育協会、オリンピック東京大会組織委員会、東京都。後援は日本体育協会、オリンピック東京大会組織委員会、東京都、文部省、NHK、日本民間放送連盟。映画『東京オリンピック長編記録映画世紀の感動」(155分)は、総監督・市川良、プロデューサー・田口肋太郎、脚本・前田博、山岸達児、音楽・矢代秋雄、指揮・若杉弘、解説・岡田実、北出清五郎、鈴木文彌、監修・川本信正が関わった。

2.昭和47年第11回冬季オリンピック札幌大会
日本はもちろんアジアで初めて開催された冬季オリンピックである。北海道札幌市で1972年(昭和47)2月3日から13日まで行われた。笠谷幸生がスキー・ジャンプ70メートル級で、アジア初の冬季オリンピック金メダルを掌中にした。東京オリンピックと同じく記録映画「札幌オリンピック実監督は篠田正浩)が製作された。

レコード関連では、「札幌オリンピック・マーチ「白銀の栄光」」(山本頂純作曲・指揮、演奏・コロムビア吹奏楽団)、「NHK制作・村井邦彦『虹と雪のバラード』から、行進曲「虹と雪」(岩河三郎作曲・編曲・指揮、演奏・コロムビア吹奏楽団)、「行進曲『純白の大地」」(古関裕而作曲・指揮、演奏・コロムビア吹奏楽団)、「讃歌『純白の大地筐(清水みのる作詞、古関桁而作曲・指揮、合唱。

日本合唱協会、伴奏・コロムビア吹奏楽団。1968(昭和43)年2月6日から18日までフランスのグルノーブルで行われた第10回冬季オリンピックの記録映町「白い恋人たち」監督・クロード・ルルーシュ、音楽・フランシス・レイ)の影響が大きかった。
なお「虹と雪のバラード」は、男女のデュオ、トワ・モアがNHK紅白歌合戦で歌唱した。
 
3.平成10年第18回冬季オリンピック長野大会
日本の長野市とその周辺を会場に、20世紀最後の冬季オリンピックとして2月7日から22日まで行われた。72の国・地域から選手・役員4638人が参加、延べ144万2700人の観客が会場に集まった。スキージャンプ・ラージヒル団体で、岡部・斉藤・原田・船木が金メダルを獲得し、日本中が湧いた。

公式ソングはWAになっておどろう・NHK「みんなのうた」で歌われていた曲で、大会のマスコット、4羽のフクロウがモチーフのスノーレッッのテーマソングという位置づけであった。公式イメージソングは、杏里の「SHARE瞳の中のヒーロー」(杏里作詞・作曲)。

公式メッセージソングとして、さだまさし作詞・作曲歌唱の「Dream愛を忘れない」。清水アキラ・小林由紀子が歌う「長野冬季スポーツ音頭」が推薦曲に。「銀色の夢」(DEEN)は公式ボランティアサポートソングに、槇原敬之「足音」が聖火リレー公式応援ソングになった。さらにイメージソングが2曲、少年隊「湾岸スキーヤー」、TRFというように百花線乱状態であった。

昭和45年日本万国博覧会「にっぼんばんこくはくらんかい」は、183日間、大阪府吹田市千里丘陵で開催された、日本初かつアジア初の国際博覧会だった。名誉総裁は当時の皇太子叫仁親王、名誉会長は内閣総理大臣・佐藤栄作が務めた。この万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」は1967(昭和42)年に発売された。三波春夫、坂本九、吉、水小百合、山本リング、叶修二、弘川三枝子、西郷輝彦、ポニージャックスらレコード各社のエース級の競作盤となり、300万枚を売り上げた。別売の「万国博音頭」(三宅立美作詞、西沢炎補作、古賀政男作曲、佐伯亮編曲)は村川英雄が歌唱。他に競作はなかった。

権利を巡るビッグビジネスの一例である。NHKと日本民間放送連明(民放連)で櫛成するジャパン・コンソーシアム(JC)は、2018~24年までの放送椎について、国際オリンピック委員会(IOC)と合意したと発表した。それによると、放送権料は2018年のピョンチャン(韓国)冬季オリンピックと20年の東京夏季オリンピックで660億円、22年の冬季オリンピック、34年の夏季オリンピック(いずれも開催地未定)で440億円、4大会合わせて200億円。


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