カラオケボックスを経営する難しさ
売上が落ちる原因と対策収益性が低下しカラオケだけでは生きていけない時代にカラオケボックスは、 ノウハウがなくても営業が可能で参入が容易といわれています。


年々競合は激化する方向にあり、 価格競争によって収益性は低下しています。


1.力ラオケボックスの本質は「アミューズメント」
カラオケボックス業態の本質は、部屋とカラオケ機器を貸し出す「施設提供サービス業」ではありません。

ストレス解消や仲間との団らんなど利用客による目的の違いはあるものの、 カラオケボックスの使命はお客様がカラオケという参加型レジャーを通していかにアミューズメント施設としての「楽しさ」を感じることができるかにかかっています。

東京ディズニーランドの顧客サービスなど、人気のある他のアミューズメント業態なども研究して施設やサービス、イベントなどをトータルに見直すことが競争力アップにつながります。

次のような基本的ポイントについては、常にチェックが必要です。
①従業員は笑顔を絶やさず明るく働いていますか。
②店舗は清潔で手入れがゆきとどいていますか。
③カラオケ機器や音響設備について常に研究をしていますか。
④次々と新しいイベントを考え、 常にお店に変化を与えていますか。
⑤機器の故障や什器の汚れなど、 継続的なメンテナンスを行っていますか。
⑥飲食メニューは本当においしいですか。


2.売り上げが落ちている原因と傾向
①ルーム料金相場の低下により、 カラオケ収入だけのビジネスでは生きていけない時代に入っています。→カラオケの料金について

②新宿の歌舞伎町 (東京) などに代表される各地のカラオケ激戦地では、ルーム料金の価格破壊ともいえる低価格化が進展し、 業績悪化のために閉店する店も増えています。

③ 室料割引やドリンクサービスなど、 集客競争が激化しています。

④平成景気の波に乗って多くの企業が積極的に設備投資を行いました。現在は、 景気の低迷によって投資の負担に苦しんでいます。

⑤カラオケボックス業界の売上の動向は調査対象119店のうち70%近くの店が売上が減少したと回答しています。

⑥また、 利益については70%近くの店が昨年より減少したと回答しており、カラオケボックスの厳しい現状を示しています。

レストランや居酒屋などのカラオケボックス以外の業種では、カラオケルームを設置することによって客単価のアップにつながります。 カラオケ導入のメリットに目をつけた様々な業種業態による複合的な競合の時代を迎えています。

①居酒屋・パブ・屋台村・ステーキ店など、さまざまな飲食店がお客様に対する付加価値向上策としてカラオケルームを導入しています。

② 「京王プラザホテル」、「シェラトン・グランデ・トーキョーベイホテル& タワーズ」、「ホテルニューオータニ」など、多くのシティホテルでカラオケルームを設置する動きが展開されています。

③地方の温泉旅館でも、 宿泊者のレジャーをホテル内で完結させ客単価を最大限に上げるためにカラオケルームを設置しています。

④大手企業がカラオケボックスに本格参入し (西武鉄道㈱経営のBIGBOXなど) 、 中小の既存店への影響が懸念されます。

カラオケボックス利用者はウィークエンドの夕方から夜に集中します。 この時間帯に充分な売上を上げるために、 多くのルーム数を用意して充分に売上を稼がなければなりません。 しかし、 部屋数が多いと平日の日中にはせっかく投資した施設を遊ばせることになり経営の負担です。

① 「カラオケランチ」 などの日中に稼働率を上げる工夫は行っているものの、客単価は低く必ずしも収益に結び付かないのが実情です。

②主婦・老人などの昼間の顧客の開拓が必要ですが、 住宅地の近隣以外の店舗では集客が困難です。

③予約の電話受付などのため、 日中でも従業員を配置する必要があり人件費が発生します。


複合的な競合下にあるカラオケボックスは、 他店と何らかの差別化を図って業績を伸ばしていかなければ今後は生き残れない状況にあります。しかし、差別化のための方策にはリスクが伴います。 むやみに取り入れても成果は上がりません。
そこで、 各種差別化の前提となる基本的な考え方を整理してみます。

競合の激化などを背景にして、 ルーム料金割引などの価格競争が激化しています。 こうした価格競争に追従するだけでは、 他店との差別化にはつながらないため客単価が低下するだけで客数の増加にはなりません。 世間相場に合わせた料金設定も必要ですが、 その前に自店の得意とする対象顧客のニーズをしっかりとつかむことが先決です。以下、代表的なカラオケボックスの顧客属性別の攻略法を整理してみます。


3.学生が重要ターゲット
カラオケ市場の低年令化により、中学生・高校生・大学生などの学生は重要な顧客です。
①アイドル歌手やロック、ニューミュージックなど、好きなミュージシャンのアルバムはシングルカットされていない曲にも詳しい。
②新曲の情報に敏感な世代。
③曲数が多く新譜の供給が早い「通信カラオケ」は必須。→通信カラオケの詳しい説明
④価格設定は低め、会員化とリピート回数で売上を稼ぐ。
⑤アルコール度の低いカクテル (チューハイなど) の充実。
⑥未成年者には、炭酸飲料などのソフトドリンクやポップコーンなどのスナックを用意。
⑦カレーライス、スパゲティ、ピザなどの軽食メニューの充実。 1品ごとのボリュームは多め。
⑧住宅地周辺の立地の場合は、店構えやチラシ等で健全な娯楽であることをアピールし学校や親に良い印象を与える。

ビジネスマン、OLの攻略
オフィス街に近い立地の場合は、若いビジネスマンや0 L をターゲットにする必要があります。
①食事&カラオケ歌い放題などのランチメニューによって新規顧客を開拓し固定客づくりのきっかけにします。
②一般的にランチタイムの客層は0Lが主流です。
③ランチメニューは、見た目がよく女性の好むおしゃれなものを。
④デザートとコーヒー(又は紅茶)付きで1,000円未満の価格設定。時間は1~1. 5時間。
⑤新規入店時に会員化し、特典を与えて夜の集客につなげます。
⑥アフターファイブの集客については、昼間の0L会員を核にして同僚や先輩のビジネスマンを集客します。2次会への対応が中心です。
⑦一般に年配のビジネスマンはスナックなどのナイト市場に流れ、カラオケポックスの対象顧客にはなりにくい傾向です。ただし、落ち着いた雰囲気の接待向け個室として対応している例はあります。
⑧近隣オフィスへのチラシ配付や、街頭でのサービス券の配付など。

女性の視点で経営全般の見直しを
カラオケボックスの重要な顧客である若い年代層の場合、カラオケ参加率の男女比は女性の割合の方が男性よりも大きくなっています。女性に好かれる店作りのために経営全般を見直すことは、業績アップの有効策です。
女性に好かれる店作りの主なポイントには次のようなものがあります。

①曲線を多く用いた、やわらかな店舗デザイン。
②清潔が繁盛店の基本。掃除のゆきとどいた店内。
③臭いやへこみなどのない消毒済みの清潔なマイク。
④機器操作のわかりやすい説明など、 ていねいな接客サービス。
⑤見た目がきれいなフードメニュー。
⑥郊外店の場合は、1台あたりのスペースが広く停めやすい駐車場。


4.各種演出機器の充実
カラオケ機器を置いただけでは、充分とは言えません。 マイク、 スピーカー、エコー装置など「誰が歌ってもうまく聞こえる」ような設備が必要です。
音響機器を部屋の状況に合わせて適切にセッティングします。次のような各種の演出機器も、 予算や必要に応じて導入を検討します。

①ステージの用意。 プロ仕様のマイクやアンプ、 スピーカーなどを装備。
②歌っている姿をビデオカメラで撮影し、 モニターに映し出すシステム。
③モニター画面を編集、 演出できるビデオシステム。
④曲に合わせて照明が変化するライティングシステム。
⑤自分の歌をCD、テープ、DATなどに録音できるシステム。
⑥曲に合わせて床が振動するフロアドライバー。
⑦対象顧客が若者の場合は、 ボディアクションのためにワイヤレスマイクを用意。


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