1.レコード・ビジネス全体の流れ
産業構造
初めに、レコードがどのような過程を経て消費者の手に届くかだ。それにはいくつかの方法がある。

メジャー・レコード会社
これがほとんどのレコードが作られる典型的な流れである。アーティストがメジャーレーベル(ワーナー・ブラザース、MCAなど) とレコーディング契約を結び、レコーディングした自分のテープを渡す。そして会社がそれをレコード化(すぐにわかるがレコードの定義はそれほど簡単ではない)する。アーティストのレコードはデイストリビュータのところへ出荷される。

これはレコードをレコード店へ流す卸売業者である。それから会社は宣伝活動、プロモーション、営業へと移っていき、アーティストをスターダムにのし上げていくわけだ。

レコード会社の主なセクションは以下のとおり。

A&R部門
この部門の人たちは、新しい才能を発見して育てる“耳”を持った連中であり、すべてのアーティストと一緒になってクリエイティヴな仕事をする。

営業部門
営業部門の人たちが、アーティストのレコードをレコード店へ調達する。ミリオン・セラーを生むには無視できない部門だ。
マーケティング部門広告、パブリシティ、アルバム・ジャケットのアートワーク、プロモーション・ビデオ、レコード店内のディスプレイ、販促品などを扱う。

プロモーション部門
プロモーション部門の連中は、アーティストのレコードがラジオでかかるようにするのに活動している。彼らは、いろんなラジオ局に詰めており、しょっちゅう「○○ちゃん」とか「お願いしますよ」とかの言葉を口にしている。

商品管理部門
この部門の連中は、他の各部門(営業、マーケティング、プロモーションなど) を激励し、一緒にアーティストのレコードをプッシュしていくのが役目である。これはアーティストという馬車の一団がばらばらにならず足並み揃えて引っ張っていくのを確かめるということだ。

アーティスト・テベロップメン卜部門ここは、アーティストがツアーの最中に会場となる都市でプロモーションを行なったり、その土地のレコード店にアーティストのレコードがちゃんと置かれているか確認したりといった、会社側の仕事を調整する部門だ。こういうツアー・サポートはいろいろと注文の的となる事柄である。

制作部門
レコード製造、ジャケット印刷を行ない、それらを取りまとめてデイストリビュータへ出荷する部門である。

財務部門
会社の収支を記録すると同時に、アーティストのロイヤルティを算出して支払ってくれる、ありがたい部門である。

ビジネス・アフェア部門/法務部門
これらの部門の担当役員が会社の契約の責任者となる。アーティストとの契約ばかりでなく、レコード・クラブや海外のライセンスなどもである。ビジネス・アフェア部門では契約交渉を行ない、また他部門の役員と連絡をとってその内容を決定する。法務部門は法律的なアドバイスを行ない、契約書の草案を作成する。ビジネス・アフェア部門と法務部門がひとつになっていることもある。

国際部門
名前から想像がつくとおり、国際部門はアーティストのレコードを世界中で発売するための調整を行ない、海外での上記の各役割を監督する。


ところでレコード会社というのは、多くは複数の部署がそれぞれ専門的な仕事を扱っているわけだが、中にはひとりの人間もしくはひとつの部署のところで、これらの仕事のいくつかが一緒にまとまっている場合もある。

たとえば、もう少し小さなレコード会社では、A&Rの人が商品管理を兼ねていたりすることもあるわけだ。あるいは、さらに大きなレーベルでは、広告、パブリシティ、アート、ビデオがそれぞれ別の部門になっているかもしれない(これらはすべて、他のところではマーケティング部門が扱うことだ)。いずれにしろ、上記はあくまでも主要部門の一般的な姿である。

メジャー・レコード会社はすべて“メジャー・デイストリビュータ”が配給を担当している。これはレコードを製造工場からレコード店へ動かす巨大な配給網なのだ。

このちっぽけな商品を小売業者の手に渡すことは、口で言うよりもずっと難しいことなのである。これを行なうには、他の製造業と同様に巨大なネットワークが必要で、倉庫、出荷、在庫管理、営業部隊などの手配と維持にはかなりの費用がかかり、商品をレコード店に運ぶ必要もある。

それがどの程度のものかというと、メジャー・デイストリビュータのWEAではおよそ1,250人が働いているが、メジャー・レコード会社のワーナー・ブラザース・レコーズ(WEAはここのレコードの配給を手がけている)には500人の従業員しかいないのである。

レコード会社の吸収合併の時代を経た今、現在メジャー・デイストリビュータは6つしか残っておらず、どれもメジャーレーベルが所有している。それらメジャー・デイストリビュータは次のとおりである。→レコード会社と音楽について
2.
(アルファベット順)
MG (BMGレコーズ〔旧RCA] とアリスタを配給)
CEMA(キャピトル、EMIアメリカ、クリサリス)
MCA(MCA、ゲフイン、モータウン)
ポリグラム(ポリグラム、A&M、アイランド)
ソニー・ミュージック(旧CBSで、コロンビア、エピック、ポートレイトを配給)
そしてWEA(ワーナー・ブラザース、エレクトラ、アトランティック)。
各末尾にあげたレーベルは主要なものだけである-どのメジャーも小さなレーベルを同様に配給している。


3.レコードとは何か?
それでは基本的なところに戻ってみることにしよう。そもそもレコードとは何なのだろうか?

これをそのまま単純に解釈すると、この問いに対する答えはあなたが考えているのとは違ったものになってしまう。もちろん、このレコードという言葉はあなたの考えているとおりのものアナログ盤)、録音済カセット、それにコンパクト・デイスクを意味している。

しかし実質上、過去20年間におけるすべてのレコード契約の“レコード”の定義では、オーディオだけのものと、ビデオやビデオディスク(レーザーディスク)などの“オーディオビジュアル”装置(つまり音と映像が一緒になっているもの)の両方、音と同様に映像も映し出すものも取り込んでいる。

そのレコードの定義には、現在あるいは符来知られるその他のあらゆる機器、音だけあるいは音と映像を一緒に伝えることができるものが含まれていた。もしレコーディング・アーティストであり映画俳優でもあるアーティストだったら、オーディオビジュアル機器をレコード契約に包括させるとちょっとやっかいなことになるのだ。

ところで、もともとレコードは、販売する1枚ごとに、ミュージシャンや歌手に演奏させていたということをご存知でしたか? これは大量に複製する手段がなかったからで、だからレコーディングは、それが販売されるところのワックス盤に直接行なわれていたのである。これが100万枚も売れでもしたら、同じ曲を演奏することにどれだけうんざりさせられたことだろうか。


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