カラオケのマイクで雑音を拾わせない方法
マイクを口に近づけて歌っていると、時には声と一緒に吐く息をマイクが拾って、「ポーッ」「ブーッ」という雑音がスピーカーから聞こえることがあります。

この雑音を業界では「吹かれ」というのですが、これを防止するために、丸いスポンジ状のものがマイクのカプセル部分を覆っていることがあります。名前を「ウィンドスクリーン」と言います。飾りのために付いているわけではありません。

野外ロケなどで音声担当の人が持っている、大きなマイクの外側に何やら銀色をした毛むくじゃらなものが付いているのも見かけますが、これもウィンドスクリーンです。野外ではしょっちゅう風が吹くので、ポーポーという雑音が入るのを防ぐためのウィンドスクリーンはなくてはならないものです。

また、歌手のレコーディングやラジオのディスク・ジョッキーの収録現場をテレビや写真などでご覧になった方もいると思います。その際、歌手やDJ担当の人の前にマイクが吊り下がっていて、そのマイクと人間の口の間に、丸い枠の中に薄い膜が張ってあるようなものが付いているのをご存じでしょうか。 この枠に膜を張ったようなもの、これも吹かれ防止のためのもので、「ポップ・フィルター」と言います。

雑音防止といえば、マイクの持ち方以外に、歌う人の立ち位置も重要です。特に重要なのがスピーカーとの距離で、これを間違えると大変不快な雑音が発生します。マイクの先端を囲って歌うときの弊害と同じ「ハウリング」という現象です。

ハウリングは、スピーカーから出た音をマイクが再び拾って、それがまた増幅されてスビーカーから出る、それをまたまたマイクが拾う…という繰り返しによって起こります。これによって発生する、キーンと耳をつく高い音はとても不快です。カラオケを楽しむ方なら、一度は必ずこの経験があるかと思います。

ハウリングを起こさないようにするには、マイクをスピーカーに向けないようにするのはもちろんですが、歌う人もスピーカーのそばには近寄らないようにします。また単一指向性のマイクを使えば、ハウリングの弊害は極端に少なくなります。

マイクを口に近づけるときは、口に対してカプセル部分を垂直に当ててください。これはマイクが声をしっかりととらえるようにするための基本です。

このことはマイクの「指向性」というものと関係があります。指向性とは、マイクを向けた方向を基準に角度を変化させていくと、音の感度がどう変わるかということを表す言葉です。つまり1本のマイクがあるとして、これはどの方向からくる音を拾うのか、ということです。

市販されているなかでも1万円未満の、低価格のマイクは「無指向性」であるものがほとんどです。

無指向性とは、どの方向からの音でも拾うということを表します。このタイプは、部屋の音を集めて録音するのには適していますが、ヴォーカル用のマイクとしては、実は適しているとは言えません。なぜなら、どの方向からの音でも拾うということは、歌声以外の雑音も拾うということでもあり、歌声は散漫に聞こえてしまうのです。

ヴォーカル用のマイクや、その他プロがレコーディングなどで使うたいていのマイクは、「単一指向性」というタイプのものです。

これはマイクを向けた方向の音に鋭く反応するタイプで、余分な音は拾いません。音をしっかりとらえるかわり、音を拾う方向は限られていますので、口に対して垂直に向けないと、マイクの性能が生きてこないのです。

単一指向性のマイクは、プロが使用することを前提につくられていますので、価格の低いものでも1本3万円以上はするのです(メーカー設定の価格)。

カラオケボックスに据えつけられているマイクは、無指向性のタイプであることが多いようです。だからといって、「無指向性だったらどこからの音でも拾うんだから、口にどう当てようが関係などというのはあさはかな考えです。

単一指向性のマイクを意識しながら口に対して垂直に当てると、たとえ無指向性のマイクでも、音をしっかり拾う効果が上がります。いわばマイクに対する誠実な姿勢をあらわすことといえます。


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