1.演歌の歴史は意外と新しい
カラオケで歌うなら演歌ここで少し長くなりますが、演歌の歴史をたどってみたいと思います。まず、その文化的源流をたどると、古くは万葉集のなかの労働歌にまでつながっていきます。

その後、恋心を激しく歌った古今や新古今集の和歌の世界、江戸時代の近松門左衛門や井原西鶴の心中ものの世界、そして明治に入ってからは浪花節や叙情歌謡の世界などとつながっていきます。そんな演歌が、はっきりと歌のジャンルとして世に登場したのは、明治20年代のことです。

その経緯は次のとおりです。
明治時代、板垣退助で有名な自由民権運動の壮士たちは、街頭演説をする際、大衆をひきつけるため、時事ネタに七五調の節をつけてバイオリンを奏でながら歌ったといいます。

それで、演説の「演」をとり「演歌」と名づけられたのです。その後、昭和に入るとレコード会社が大衆音楽を広めていきますが、そこでは七五調をいかした恋情歌謡も生まれました。→書店とレコード店ではCDの入荷スピードやサービスに違いがある

しかし、七五調ではあっても、内容が恋を歌ったもので時事ではなかったため、演歌とは呼ばれず他の曲と一緒に「流行歌」と呼ばれていました。

今でも、流行歌という呼び方は生きています。ただし当初は、必ずしも「流行歌」で統一されていたわけではなく、レコード会社によっては「流行(はやり)唄」「流行小唄」「新民謡」などとも呼んでいたようです。

戦後になると、アメリカ軍の進駐とともにジャズなど洋楽が入ってきて大ブームになりました。それと区別するために、七五調の歌も含めて和風、純和風の歌は「歌謡曲」(NHK邦楽番組にかかわってきた町田佳馨氏考案)と呼ばれるようになり、この言葉が定着しました。

しかし、この時点でも今日でいう演歌という言葉は生まれていませんでした。演歌というジャンルが生まれたのは1960年代、GS(グループサウンズ)といった洋楽テイストを導入した若者向けの音楽が世に出てからのことです。

このグループサウンズとの対比で、明治に使われていた「演歌」という言葉が再利用されるようになったのです。それでも、レコード業界に定着するのは、それから10年近く経た1970年代に入ってからです。
このように、演歌という言葉が国民に普及するようになったのは意外に新しいことなのです。
2.音楽による健康効果に注目
カラオケによる健康効果は、歌の世界に入り込み、歌と同化するほど大きくなります。ですから、歌の選曲は、初心者であるほど馴染みやすいものがいいと思います。→カラオケはストレス発散でき病気や不眠症の改善に効果的

さらに、できることなら、カラオケのディスプレイに表示される歌詞を目で追いながら歌うのではなく、歌詞をしっかりと暗記して、その内容を自分なりに味わいながら歌えるようにすると、もっと効果的です。こうしたことから、日本人が健康カラオケを実践するには、演歌がとくに向いていると思います。

それは、演歌が日本の文化に深く根付いてきた歌なので、日本人の心に馴染みやすいからですが、医療の現場で見ていても、演歌による健康効果が大きいことが認められます。

これは、演歌の歌詞に他の曲よりストレートな感情表現が多いことや、ドラマ性やストーリー性が巧みに織り込まれていることも影響しているようです。しかも演歌には、激しい恋情や女心、男心を歌ったものも少なくありません

ところで、演歌が健康カラオケに向いているといいますと、「演歌が好きな中高年世代はいいとして、若い人はあまり歌わないんじゃない?」と思われるかもしれません。

ところが、よく調べてみますと意外にそうでもないのです。もちろん、若い人がカラオケで歌う曲は、世代の近いR&BやHIPHOPといった最近のヒット曲が多いでしょう。

しかしそんな彼らでも、不思議に1、2曲は気にいった演歌を持ち歌にしていて、合間に熱唱したりしていると聞きます。カラオケ店関係の方の話では、とくに若い女性は必ずといっていいほど演歌の持ち歌を数曲もっているそうです。

きっと演歌とは縁のなさそうな若い世代であっても、演歌は感情移入しやすく、歌っているとカラオケハイを味わえることを無意識に感じているからでしよう。

それでも演歌は馴染まないという人ならば、演歌以外のバラードや抒情歌、フォークソング、ニューミュージック、さらにはロックでも、もちろんかまいません。大切なのは、歌に同化しやすいかどうかですから。

今は昔より、はるかに音楽に接しやすい環境に恵まれていて、それこそ産声をあげたときから、テレビやラジオ、さらにはCDなどから流れる音楽を耳にして育つわけです。

その分、音感やリズム感が自然に育っていると思われます。そのためか、かつては絶対音感をもつ人が、プロ歌手でもほんの一部に限られていましたが、最近は学校なら1クラスに1人か2人はいるとまでいわれます。

こうした傾向は、若い世代だけでなく中高年層にも認められることで、結局、日本国民全体が、歌に親しみやすい状態にあるといえるでしょう。それになんといっても、歌は世につれ世は歌につれというくらいで、私たちの生活に密着しています。

そんな歌を思いきりお腹の底から声を出して歌う、それだけで健康カラオケを実践できるのです。


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