声域について

1.声について人によって、の高めの人や低めの人がいるのはなぜでしょう?声の高さは声帯の振動の速さで決まります。空気中で1秒間に440回振動すれば八音(ラ)が鳴ります。

その倍の1秒間で880回振動すれば1オクターブ上のみ音(ラ)が鳴るというわけです。

まあ、単純に物理現象です。これはギターの弦が振動して音を出すのとよく似ています。ギターの弦はフレットを何も押さえない開放の状態で一番低い音が出ます。

これは弦が長いために振動回数が減るからで、フレットを押さえて弦の振勳する部分を短くしてやれば高い音が出るのは振動回数が増えるからです。

声帯にも同じことが言えます。声帯が長ければ低い音が出るし、短ければ高い音が出るわけです。

声帯の長さは生まれつきみんな違うので、長い人は低音が出しやすく高音が出し難いですし、短ければその逆のことが言えます。男性は女性よりも一般的に声帯が長いので女性よりも声が低いのです。そして、声帯の閉め方で声帯の振動する部分の長さを調整し、音の高低を歌い分けているのです。

要するに、音域を拡げるということは、声帯の開放と収縮をコン卜ロールできる幅を拡げるということなのです。
ですから、声帯を絞って高い声を伸ばしていくことは比較的できますが、声帯を本来の長さ以上に伸ばすことはできないので、低い音には限界があります。





2.声域を広げる
高い声を出すにはどうしたら良いでしょうか?
皆さんの一番の疑問だと思います。

もちろん、高い声が出るにこしたことはありませんが、皆さんにとって、一番重要なのは自分の声帯の持ち味をよく知って、自分の声蒂にとって最大限可能な範囲に声域を広げることです。

クラシックの声楽家の場合は、楽曲を原曲の高さで歌えないと、その歌を歌うことは不可能なのですが、ポップスやロックの場合は基本的にヴォーカルの声が一番魅力的に鳴る高さに曲を合わせます。

同じ曲でも高い声が魅力的な人は高めにし、低い声が素敵な人は低めに設定するのです。ですから、高い声が出なくても声域が広ければいろいろな歌を歌うことができるのです。


3.声種について
ヴォーカリストを声域によって、いくつかに分類する呼び名があります。これが声種と呼ばれるもので、女性の高い方から、ソプラノ、アル卜、男性の高い方からテノール(テナー)、バリトンと呼びます。

さらに、声の音色や歌唱スタイルによって細かく分類する方法があるようですが、これはわりとクラシックの世界で使われる分け方で、ポップスやロックを歌う人はあまり気にしないでください。

むしろ、自分が実音でどこの音まで出るかということをはっきりと調べるようにしましょう。そして、それをレッスンの目安にして少しずつ広げるように頑張りましょう。


4.声変わりの不思議
皆さんは声変わりという言葉を聞いたことがありますね。
これは俗名で、音声学的には、変声、声変、声破などと呼ばれるものなのです。人が12〜13才頃になると、いわゆる思春期に入り、第二次性微における体内の種々の影響を受けて、急速に男女両性の肉体的差異が明瞭になります。そのひとつで最もよく知られている現象として、声の変化が挙げられます。

そして、この時期を変声期と呼び、正常な発育の者であれば11—12才から16〜17才頃までの期内に必ず起こるものとされているのです。

声変経過期間はおよそ半年から二年程度とされています。男性は声質が一変して、いわゆるドラ声となり、女子は丸みのある艶を持った声になります。

この原因は咽頭部が急激に発育するために起こります。この咽頭部の変化は、男子の方が特に急激で、喉仏が前に突出してくるほどで、形の上までも変化を起こすわけです。

変声期を過ぎると男女ともに声域に変化が起こります。一般に男子は1オクターブ、女子で2〜3度、声域の下限か下がります。声域は両者ともに変声終了時には2オクターブに拡大します。

これは、声帯の長さの変化に起因するものです。声帯の長さは変声期前までは、男女間にほとんど差は見られず、9㎜〜10.5㎜程度ですが、変声期に入ると急速に発育して、男子においては2倍もの長さに発育することさえあるのです。

ちなみに変声期終了後の声蒂の長さは、女子で12mm以上もの長さに発育することさえあるのです。ちなみに変声期終了後の声帯の長さは、女子で12〜15mm、男子で14〜21㎜ぐらいです。

この数値をみても男子における声帯の変化がいかに激しいものかよくわかりますね。

重要なのは、変声期には発声器官のバランスが極端に崩れるため、声帯が軽い炎症を起こしたり、声が突然ひっくり返るといったことが起こるような発声失調状態になります。

これは、声帯機構そのものの変化に起因するので、どんなに努力してもどうにもなりません。変声期は生理的に炎症状態を常に起こしているようなものなので、喉を酷使して声帯に重大な障害を起こさないようにくれぐれも注意してください。


5.声帯は男と女、大人とこどもでどう違う?
声を出すのは「声帯」という器官です。のどの奥の喉頭というところの、気管の出口にあります。二枚のうすい筋肉の膜のようなもので、だいたい水平についています。

その間を呼吸する空気が出入りします。声帯は、声を出さないときはゆるんでV字型に開いていて、吐く息、吸う息を抵抗なく出入りさせています。→歌うときも話すときと同じ自然な呼吸の仕方を意識する方法


声を出そうとすると、声帯とその周囲の筋肉がはたらいてゆるんだ声帯を緊張させ、間隔がせまくなり、ピンと張ります。吐き出す息は、いわばムリにその狭くなったすきまを通って出てくることになります。

声帯はピンと張りつめているので、空気(吐く息)によって振動し音を出します。くちびるを閉じて、日の中の空気を強く吐き出すと、「ブルブルブル……」とか「ブー」と鳴りますね。あれとおなじ原理です。

声帯の長さ、厚さ、張りぐあいは、人によってちがいます。長さは、男性の大人では大体17~23ミリ、女性の大人では12.5~17ミリ。平均して女性は男性より5ミリくらい短い。こどもは、大人より短い。厚さも男性は厚く、女性はうすい。ギターの弦を思い出してください。

ギターの弦は太いほど、また張り方がゆるいほど低い音になり、弦が細いほど、そして強く張るほど高い音が出ます。声帯もおなじで、長くて厚い男性の声帯から出る声は、短くてうすい女性の声帯から出る声より低いというリクツです。

こどもの声帯は大人より短いので、男の子でも女性のような高い声になります。けれど男の子は思春期になると声帯も発育して、低い声になる。これがいわゆる「声変わり」。男でも女でも、声帯の張り方を加減することによって、声に高低の差をつけることができます。また吐き出す空気の量を調節することによって、大きな声や小さい声の変化をつけることもできます。

しかし声帯で「ことば」を発音することはできません。声帯は基本的にくちびるのような器官で、くちびるを振動させて出る音が「ブルブル……」「ブー」といった音だけであるように、声帯から出るのは「ベー」というような音だけです。



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